Motostukaはアメリカの独立系会社で、現代の使い捨て文化において稀有とも言える信念のもと、美しい製品を生み出しています。
彼らの製品は全てシンプルでありながらエレガントなデザインで高品質な素材を用い、60年前に最初にハイウェイを使用したライダーや、当時のパイオニア達にもマッチするような一品です。
Motostuka Shankグローブは、私たちMonday Mo.Coでも最も人気の商品の一つで、このブランドについて詳しく知りたいというお客様も大勢いらっしゃいます。
そこで、今回 Motostukaの創設者である、ロブ・ハウ氏に直接お話を伺ってみることにしました。
Motostukaはいつから始まりましたか、何がきっかけで会社を興したのでしょうか?
大学で工業デザインを学んだ後、私はまず17年間、大手企業で一般大衆向けの電化製品のデザインをしていました。これはとても魅力的な仕事で給与も良かったですし、外国にもたくさん出かけることができました。ただ、大企業での勤務というのは長く続く保証がないのも事実です。一つの会社単位でみると、長くて5〜6年程度で、私自身にはどうしようもない理由での解雇が待っていました。最後に働いていた会社では、2011年のクリスマスがやってくる3日前に解雇を言い渡されたのです。そのときは私の所属する部署がすべて無くなりました。同僚が次の職を探す中、私は妻と膝を突き合わせて次の人生について語り合いました。退職金は十分に出て、妻も仕事を持っていましたので、私が新たなキャリアに方向転換するのに多少の時間をかけたとしても、子どもたちを路頭に迷わせる心配はありませんでした。また、私自身はもう会社組織で働く気はありませんでした。何か自分の手でやりたかったのです。何か特別なものを生み出して、その希望の中でリスクも取りたかった。妻は私にこう言いました。「いつもあなたが考えたり話したりするのはオートバイのことばかりじゃない。だったらその業界に飛び込んでみたらどうなの?」と、私はそれを実行したのです。
製品のインスピレーションはどこから得たのでしょうか?
それは核心的な質問ですね。私はかねて日本の美学である「わびさび」に傾倒してきました。わびさびというのは、不完全の中にある美学のようなものです。例えばあるものがとても古くなったとき、そこに美が生まれます。わびさびは、なぜ古くて擦り切れたジーンズが新品のジーンズよりも素敵に見えるのか、古いブーツになぜ魂がこもっているように見えるのかの答えです。「古くて古くない」と言えば良いでしょうか。私のデザインする製品は、過去の時代からやってきたように見えると思います。例えば、Hog Butcherのエプロンは1940年台の工場労働者が使っていたようなデザインです。そのようなことを考えながら、美しい経年変化を見せる素材探しをしたりもするのです。
米テキサス州のMotostukaワークショップで仕事中のロブ
Motostukaというブランドはオートバイのライフスタイルと切っても切れない関係にあると思います。
ご自身はバイクに乗っていますか?もし乗っているならどういうバイクでしょう?またバイクに乗り始めたきっかけも教えてください。
私の父がバイクに乗っていましたので、8才の頃にYamaha60を最初のバイクとして与えられました。
それから44年間、バイク無しの生活はしたことがありません。またその間、あらゆる種類のバイクに乗ってきました。ダートバイク、スポーツバイク、ツーリングバイク、チョッパー、ビンテージ。今現在で言うと、少しひねったアドベンチャーツアラー、昔のダカール・ラリーに触発されたBMWを組み上げて夢中になっています。他にもショベルヘッドのハーレーチョッパーや1965年製のトライアンフトロフィーを所有しています。
ロブが自ら組み上げたダカール・ラリー仕様ビンテージBMW
あなたのウェブサイトには「古い職人の技能」への執着について書かれていましたが、伝統を守ることはどれくらい重要なことなのでしょうか?
以前の職業では海外出張も多く、外国メーカーと仕事をする機会も多くありました。彼らがどのように仕事をし、数百万もの製品をどのように造っているのかを知りました。同時に私は非常に危険を感じました。膨大な廃棄物、低い信頼性、人間的な要素の欠落によって、大量生産は長期に渡り負の遺産を生むプロセスと化していたのです。
私の製品はすべて手づくりです。考え得る限り最高の素材を用います。多少のコストセーブのためにこの方針を変更するようなことは決してしません。私たちのデザインするものに「老朽化」はありません。MotoStuka製品を着用してもし対価に見合わないと感じたなら、それは私の負けと言えます。
Motostuka Shanksは、Monday Mo.Co, において最も人気のある商品の一つです。購入者の方々に向けて、このような素晴らしい商品を造るプロセス、仕事内容についてお話を伺えますか?
Shanksは私の成功作というにはほど遠いものです。私の小さかった頃父が持っていた(そして今も私が持っているのですが)グローブから造ったものなのです。多くの人は勘違いされているようですが、私がグローブを一から造っているわけではありません。頂いている注文に対して、私が縫製作業から全てやっていたのでは対応できません。下地となる、未処理状態のグローブは、私が注文して米国内で造ってもらっています。それがMotoStukaに届くと、”Shanks"と呼んでいる工程にかけます。おおよそ18ヶ月ほどかかるワクシング工程を経て、古つやのあるShanksが完成します。またこの古つやは美しい経年変化を見せるとともに、防水グローブとしての機能を果たしてくれるのです。
ブロンズ色のShanksが好評だったことから、他の色も展開すべく試行することにしました。でも当然ながら、単に別の染料を買ってきてグローブを漬けるといったことではだめなのです。そのような仕事はしていません。すべての染料は私自身の手によって調合を行い、独特の色を追求します。例えば、MotoStukaのBloody Shanksは、一般的に売られているOxbloodの染料をそのまま用いたものではありません。もっと濃い色、もっと血に近い色を目指しました。長い時間をかけてそれを成し遂げたことは、出来上がった製品を見れば納得していただけると思います。
ほとんどのMonday Mo.Coのメンバーは、それぞれ自分のMotostuka shanksを持っています。こちらは、1951年パンヘッドチョッパーに乗るベニーとそのグローブです。
Motostukaはテキサスを拠点とされていますが、その製品はイギリスやヨーロッパ各国に広がっています。世界中の人々に受け入れられていることについて、どのように感じておられますか?
ガレージで始めたちっぽけなブランドが、これほどの広がりを見せていることにいつも驚かされています。Motostuka製品はメイド・イン・USAですが、完成品の約半数はヨーロッパとアジアに向けて出荷されます。また、ドバイ、トルコ、シンガポール、南アフリカなど、どんどん増えているのです。私が「職探し」をしなかったのが正しかったという証です。
最後にロブさんから皆へ何か伝えたいことはありますか?
多くの人はいったいどうやってこれを成し遂げたのか、基本的に何もないところからどうやって造りあげたのか、と聞いてこられます。私の答えは、情熱を傾けること、懸命に仕事をこなすこと、そしてインターネットです!これほどまで起業家にとって多くのツールが揃っていた時代はありません。オンラインツールを学べば、市場は世界中に広がります。Eコマースは、スタイリッシュでクールで上質な製品を造るスタートアップ企業を求めているのです。
ロブ・ハウ - Motostuka創業者